「この人とは正直、一緒に仕事したくないな……」
「この人の部下だと苦労しそう…」
そう感じてしまう瞬間は、実は日常のちょっとしたやり取りの中に潜んでいます。
私が社内システムの構築や運用を担当していたころ、業務柄、社内のメンバーからシステムに関する問い合わせや改修の依頼を日々受けるのですが、そこで痛感するのが「チャットの文章ひとつで、その人が優秀かどうかほぼ判断できる」ということです。
今回は、実際にあった「残念なコミュニケーション」のやり取りを例に挙げながら、なぜそれが非効率なのか、そして「本当に仕事ができる人の伝え方」についてお話しします。
実際にあった「後出しじゃんけん」のような不毛なやり取り
先日、とある他部署のマネージャーからこんなチャットが届きました。
相手:「Salesforceで仕入先名で抽出できるようにして頂けませんか。」
この一文を見た瞬間、私の頭には「?」が浮かびました。 Salesforceで仕入先を使って抽出する場面なんて、リストビュー、レポート、ダッシュボードなど山ほどあります。「どこの画面の話なのか」がサッパリ分からないのです。
そこで、私はこう返信しました。
私:「すみません、どこの何の画面のこと言っているのか教えてください。」
すると、リストビューのスクリーンショットと共に「ここの部分です。」と返信がきました。 「なるほど、リストビューに仕入先名を表示させたいんだな」と理解した私は、関連する複数のリストビュー全てに仕入先名を表示する設定を行い、「対応が完了しました」と報告しました。
しかし、ここからが本当の地獄でした。
相手:「ありがとうございます。仕入先の順番も変更可能ですよね?」
この文面を見て、私は「昇順・降順の並び替えのことかな?」と思い、「それは各自の画面で手軽に変更できますよ」と伝えました。すると返ってきたのはこの言葉です。
相手:「仕入先名を得意先名の横に置きたいです。」
……あ、項目の「並び順(列の位置)」のことか。
最初から言ってくれれば、一回の設定作業で済んだはずでした。後から後から追加で修正を出されると、こちらは何度も設定画面を開き直し、同じ作業を繰り返すことになります。
あまりの非効率さに、私は怒りを込めてこう返信せざるを得ませんでした。
私:「列の順番を得意先の横に表示してほしいってことですね。それはこちらで対応します。 すみません、最初からそう言っていただきたいです。後出しで言われると、また設定画面から操作しないといけないので。
次回からは『Salesforceの〇〇の一覧画面に仕入先名を表示させたい。さらにその表示する位置を得意先名の右側に表示するようにしてほしい』と言っていただければ、一度で対応できます。何か依頼があるときはそういう伝え方でお願いします。」
メッセージが何ターンも往復するのは「説明不足」の証拠
本来、この手のやり取りは以下の【2ターン】で終わるのが理想です。
- 相手:「〇〇の画面の〇〇を、〇〇のように変更してほしい(具体的な依頼)」
- 私:「👍(了解&完了報告)」→ 相手:「👍(確認)」
それなのに、主語が抜けていたり、場所の指定を「ここ」「あそこ」といった言葉だけで済ませようとしたりする人があまりにも多すぎます。
相手から「それってどういうことですか?」「どの画面ですか?」と質問が返ってきている時点で、最初の説明は失敗しているのです。
何度もメッセージを往復させるのはお互いの時間を奪うだけですし、認識の相違を生む最大の原因にもなります。「自分が分かりやすい言い方」でしか文章を書けない人と仕事をするのは、本当にストレスが溜まりますし、「この人の部下にはなりたくないな」とすら思ってしまいます。
一発で伝わる!「本当に仕事ができる人」のコミュニケーション術
一方で、私が「この人は優秀だな」と感じる人のチャットメッセージには、明確な共通点があります。
- 場所を伝えるときは画像に矢印や赤枠をつけて一目で分かるようにしている
- 「現状(何に困っているか)」と「理想(どうなれば解決か)」がセットで書かれている
- 誰が読んでも一発で理解できる文章になっている
専門知識がないから説明できない、というのは言い訳になりません。大切なのは「相手がどう読めば迷わず動けるか」という想像力です。
アメリカのトランプ大統領の演説は、誰でも理解できる非常に簡単な言葉遣いがされていることで有名です。あれは難解な言葉を知らないからではなく、「子供からお年寄りまで、すべての人が一瞬で理解できる言葉」をあえて選んで話しているからです。
ビジネスのチャットも全く同じではないでしょうか。 難しい専門用語を並べる必要はありません。「相手の立場に立ち、一度読めば分かる文章を作る」ことこそが、本当の意味での「頭の良さ」であり「仕事ができること」の証明だと思うのです。
まとめ:あなたのメッセージ、相手の手間を奪っていませんか?
依頼に対して「👍」ひとつでやり取りが完了する。 それこそが、お互いにストレスなく仕事を進めるための最強のコミュニケーションです。
もし職場の全員が「相手が一発で理解できる伝え方」を意識できたら、無駄なメッセージの往復は消え、仕事は格段にやりやすくなるはずです。
皆さんは日頃のチャットで、これができていますか? 「ここ」「あそこ」で相手に察してもらおうとしていませんか?
自分の送信ボタンを押す前に、ほんの数秒「この文章で相手が一発で理解できるか?」と問い直すだけでも、あなたの社内評価や仕事のしやすさはガラリと変わるかもしれません。
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✍️ この記事を書いた人
大塚 雅仁|キャリア戦略研究所
高卒・地方の自動車工場勤務から32歳で一念発起し、未経験でIT業界へ転職。
転職と同時に地方から上京。
SES企業でのSalesforce研修・プリセールス経験を経て、現在は事業会社のDX推進担当としてSalesforceを活用した社内DXに従事。
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