「200件くらいあるデータの中から、対象のものを1件ずつ目視で探しているんだよね……」
先日、社内の営業担当者からこんな相談(というか愚痴)を受けました。
私は商社のDX推進担当として「それ、VLOOKUPやXLOOKUPを使えば一瞬で終わりますよ」とアドバイスしました。
すると、その営業担当者はこう言ってきたのです。
「えっ、それってどうやるの?今からちょっと教えてよ!」
この瞬間、私は心の中で静かに頭を抱えました。
Excelの知識がほとんどない人に、XLOOKUPの概念や引数の指定方法をゼロから教え、エラー(#N/Aなど)が出たときに手取り足取り一緒に解決してあげる——。これがどれほどのエネルギーと時間を消費する作業か、相手はまったく想像できていないのです。
「頼むから、まず『Excel XLOOKUP 使い方』でググってくれ……」
教える側の労力を全く考慮せず、当たり前のように「教えて」と言えてしまうマインド。今回は、教える側と教わる側の両方を経験したからこそ見えてきた「自分で調べて解決する力」の壁についてお話しします。
1. 「教える」という行為は、相手の時間を大量に奪っている
今回の営業担当者のように、悪気なく「ちょっと教えて」と言ってくる人は、自分の「調べる手間」を「他人の時間」に付け替えているだけに過ぎません。
- ネットで検索すれば3分でわかりやすい動画や図解が出てくる
- それを読めば自力で解決できる環境が手元にある
それにもかかわらず、自分の頭を使わず、誰かに1から10まで教えてもらおうとするのは、相手の貴重な業務時間(=命)を無償で奪う行為です。
さらには「自分じゃわからないからマニュアルを作ってよ」といった要求も同じです。あなたが努力を怠ることで発生したシワ寄せは、すべて周りの誰かが被っています。
2. 「自分で調べろ」と言われた、かつての未経験時代の記憶
こんなことを書いている私ですが、最初から「自力で調べる力」があったわけではありません。
32歳で自動車工場から未経験でIT業界に飛び込んだ当時、私は一緒に研修を受けていたIT経験者の同期や先輩に、わからないことがあるとすぐに質問していました。
そんなある日、いつも優しく教えてくれていた先輩から、こう告げられたのです。
「まず一度自分で調べてみてください、それでもわからなければ聞いてきて」
当時の私は、かなりショックを受けました。「冷たいな」「教えてくれたっていいじゃないか」とすら思いました。
なぜなら、当時の私には「調べる」ということ自体が難しかったからです。
- そもそもどんな検索ワード(単語)を入力すればいいかわからない
- 検索して出てきた解説サイトの専門用語が理解できない
- 昨日見つけた良いサイトに、検索ワードを忘れて二度と辿り着けない
「調べろと言われても、書き言葉が理解できないんだよ…」という葛藤がありました。今思えば、当時の私は今の営業担当者と同じように、無意識に周りの時間を奪っていたのだと深く反省しています。
3. 日常生活にも潜む「すぐ人に聞いてしまう病」
この「自分で調べない癖」は、仕事のPC作業だけに留まりません。日常生活のふとした会話にも表れます。
- 「そのドラマ観たことない!どんな話なの?」
- 「〇〇ってカフェ、すごく良かったよ」「えっ、それどこにあるの?どんなメニューがあるの?」
一見、コミュニケーションとしては自然に見えます。しかし、聞かれた側の本音としては、「手元のスマホで3秒調べたらわかることでは…?」と感じてしまうことも少なくありません。
ネット社会において、「自分で調べて自分で解決する」というのは、できて当たり前のスキルに見えて、実は意識的に訓練しないと身につかない高度な能力なのです。
4. 「自力で解決できる人」になるための3つの検索ステップ
では、昔の私のように「調べ方がわからない」状態から抜け出し、他人の時間を奪わない人になるにはどうすればいいのでしょうか?
今日からできる3つのステップを紹介します。
① 「やりたいこと+関数名(現象)」でそのまま検索する
例えば「200件のデータから特定の値を探したい」なら、【Excel 別の表から データを抽出】や【Excel XLOOKUP 使い方 初心者】とそのままGoogleやYouTubeに入力してください。現代はテキストだけでなく、1分間のショート動画で画面操作を教えてくれるサイトが無数にあります。
さらに今はChat GPTやGeminiなど様々なAIが、検索ワードではなく会話形式の話し言葉で現在の状況を伝えると簡単な言葉でわかりやすく教えてくれます。
② エラーが出たら「エラーメッセージ」の画面ショットをそのまま貼り付ける
エラーが出た時は、その画面をスクリーンショットしてそのままAIのプロンプト入力欄へ貼り付けてみてください。「なぜそのエラーが出たのか」「どう直せばいいか」の答えが一瞬で出てきます。
③ 「15分調べてダメなら聞く」ルールを作る
「一生一人で悩み続ける」のも会社の時間を奪うことになります。「Googleで15分調べて解決策の糸口すら掴めなかったら、『ここまで調べてこう試したのですが』という履歴を添えて先輩に聞く」というルールを作りましょう。これだけで相手の教える負担は10分の1になります。
まとめ:自分の欲しい情報は、自分の手で取りに行こう
「自分で調べて解決する能力」は、一度身につけてしまえば、どんな業界・どんな職種に行っても一生重宝されるポータブルスキル(持ち運びできる武器)になります。
誰かに「教えて」と甘える前に、まず自分の手で検索窓を叩く。
「自分の欲しい情報は、自分で取りに行く」という強いマインドを持って、日々の業務に取り組んでいきましょう。
相手の時間を尊重できる人こそが、社内でも社外でも本当に信頼されるプロフェッショナルになれるはずです!
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✍️ この記事を書いた人
大塚 雅仁|キャリア戦略研究所
高卒・地方の自動車工場勤務から32歳で一念発起し、未経験でIT業界へ転職。
転職と同時に地方から上京。
SES企業でのSalesforce研修・プリセールス経験を経て、現在は事業会社のDX推進担当としてSalesforceを活用した社内DXに従事。
実体験ベースの「リアルで嘘のないIT転職・キャリア戦略」をブログ・note・Xで発信中。
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