現場のDX推進担当が語る「DXが失敗する本当の理由」─システムより難しいのは、人を変えることだった

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「DXを進めましょう」

ここ数年、この言葉を聞かない日はありません。

私は現在、とある商社でDX推進チームのリーダーを務めています。役割はシンプルで、各部署がExcelで管理している業務をシステム化し、業務効率を改善すること。メインツールにはSalesforceを活用しています。

Salesforceに携わって約4年。以前は専門のパートナー企業で導入支援を行っていましたが、現在は事業会社へ移り、実際の運用と改善を担当しています。

今回は、支援側と運用側の双方を経験したからこそ見えてきた「現場で起きているDXのリアル」をお伝えします。

なぜExcel管理から脱却すべきなのか?

Excelによる業務管理には、明確な限界があります。

  • 最新版のファイルがどれか分からない
  • 誰がいつ更新したか履歴が追えない
  • 承認作業がメールや口頭で煩雑
  • 入力漏れや更新漏れが頻発する
  • 期限が近づいても自動で通知されない

こうした課題は、Salesforceをはじめとするクラウドシステムを導入すれば、自動通知・承認ワークフロー・更新履歴の一元管理によってスッキリ解決できます。これが、企業がDXを進める大きな価値です。

しかし、実際の現場はそれほど甘くありません。

泥臭すぎる現場。理論通りにはいかない現実

世間で語られる「DXプロジェクト」といえば、緻密な要件定義から始まり、プロジェクトチームを立ち上げ、ベンダーが設計を進めていく……そんなスマートなイメージがあるかもしれません。

しかし、現場の実態は大きく異なります。中堅企業などでは、ある日突然、口頭でこう依頼されるのが日常茶飯事です。

「このExcel、システム化できる?」

マニュアルもなければ、業務フローの図解もありません。担当業務の整理すらできておらず、「細かい仕様はそっちでうまいこと考えてよ」と言われることも珍しくないのです。

想像以上に高い「ITリテラシーの壁」

現場のITリテラシーのリアルも、実際に働いてみて初めて知りました。

たとえば、「画面に保存ボタンがないんです」という問い合わせを受けて画面を見せてもらうと、ブラウザの表示倍率が150%になっており、画面下が切れていただけ、という事例があります。Ctrlキーを押しながらマウスホイールを回せば一瞬で解決する話です。

しかし、その概念自体を知らない方が一定数存在します。私の社内でも、およそ半数がこのレベルです。現場ではシステムを構築する以前に、「パソコンの基本的な使い方」から説明しなければならない局面が多々あります。

「現場を知らないDX支援」が陥る罠

Salesforceのベンダーから「何かお困りごとはありませんか?」と聞かれた際、私はこう答えるようにしています。

「営業がSalesforceに入力してくれないんです」

すると、返ってくるのは決まって次のような提案です。

  • 「選択リストを活用して入力の手間を減らしましょう」
  • 「Flowを使って入力を自動化しましょう」
  • 「数式やマスタ参照でエラーを防ぎましょう」

どれもシステム的には正しい回答です。しかし、私が知りたいのは「システムの設定方法」ではなく、「人を動かす方法」なのです。

問題の本質は入力のしやすさではなく、そもそもログインすらしてくれないことにあります。寝坊癖のある人に対して「目覚まし時計を増やしましょう」と提案しているようなもので、必要なのは「なぜ起きられないのか」「どうすれば行動が変わるのか」という人間行動へのアプローチです。

DXは、システムを作って終わりではありません。現場の人間が使いこなして初めて「DX」になるのです。

実際にあった「DXプロジェクト頓挫」の舞台裏

最近、ある部署から「Excel業務をSalesforce化したい」という依頼を受けました。しかし、最終的にこのプロジェクトは中止となりました。理由はシステムの問題ではなく、プロジェクト管理と人間側の課題でした。

1. 責任者が現行業務を理解していない

最大の課題は、相手部署の担当マネージャーが現行業務を理解していなかったことです。課題が整理できていないため、提出された資料には「顧客名」「担当者」「納期」といった項目名しか書かれていませんでした。

システム構築側からすれば、項目名だけでは何も設計できません。それがテキスト型なのか、選択リストなのか、必須項目なのか、検索対象なのか、入力ルールはあるのか──何十もの質問を重ねて泥臭く紐解く必要がありました。

2. リリース直前の「本質的ではない議論」

さらに追い打ちをかけたのが、プロジェクト終盤での脱線です。リリース直前になって、担当部署から次のような相談が入りました。

「項目名を少し変えられますか?」

「ボタンの位置をもう少し上にできますか?」

もちろん修正は可能です。しかし、今やるべきことではありません。

運用開始前に行うべきは「業務が止まらず回るかどうかの確認」です。本質から外れた議論ばかりが優先され、プロジェクトは完全に停滞。最終的には部長判断で「今回は見送り(中止)」という結末を迎えました。

DXの本質は「システム開発」ではなく「業務改善」

この苦い経験から、私は改めて確信しました。

DXが失敗する原因の多くは、Salesforceの機能不足でも、システム構築の技術力でも、ベンダーの良し悪しでもありません。

  • 業務の整理ができていないこと
  • 責任者が現場の運用を理解していないこと
  • プロジェクトを強固に推進する人がいないこと

システムは、あくまで「きれいに整理された業務」を効率化するための道具に過ぎません。土台となる業務と人が整っていなければ、どんなに優れたツールも形骸化します。

おわりに:現場の「一次情報」をお届けします

ネット上にはDXやSalesforceに関する情報があふれていますが、その多くは「機能の解説」や「綺麗な導入手順」ばかりです。しかし、実際の現場を左右するのは、機能ではなく「人」「組織」「業務整理」という泥臭い泥沼の課題です。

私は構築担当としてだけでなく、現場の運用者として日々ユーザーと向き合っているからこそ、この「DXのリアル」を語ることができます。

今後も、現場で培った生の実態やSalesforce運用のノウハウ、キャリアに関する一次情報を発信していく予定です。

執筆・取材のご依頼について

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  • DX推進の「リアルな現場感」を伝えるメディア記事の執筆
  • Salesforce導入・運用における実体験に基づいたコラム作成
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現場での実体験をベースに、読者の共感を呼び、本質的な価値を届けるコンテンツを提供いたします。

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